自然葬や自由葬とも呼ばれる散骨。旧来のお墓にとらわれない供養の方法として、近年、散骨を選ぶ人も少しずつ増えているようです。 今回は散骨について、そのメリットや注意点、樹木葬との違いなどについてご説明します。
散骨とは? scattering of ashes
散骨とは、遺骨を粉末にし、海や山など自然の環境の中にまく葬送の方法です。 お墓や納骨堂などとは異なり、遺骨を長期間にわたって保管するのではなく、自然に還すことが前提となっていますので、墓石を建立したり、長年にわたってお墓の維持管理をする必要はありません。その分、費用の負担も少なく、またお墓の継承者がいなくても問題はありません。 散骨の中でも特に海に遺骨をまくことを海洋散骨といいます。また樹木葬も種類によっては散骨といえるものもあります。 さらに、遺骨の一部をカプセルに入れ、ロケットに乗せて宇宙に送る宇宙葬もある意味、散骨のひとつといえるでしょう。 散骨は個人で行うことも可能です。しかし、粉骨や、安心して散骨できる場所の選定、散骨後の供養のことなどを考えると、散骨を取り扱っている業者に依頼する方が無難かもしれません。 信頼できる業者を自分で探せるか不安な場合は、葬儀社に相談することで適切な業者を紹介してもらえることもあります。
粉骨とは? smelting powder
一般的に散骨をするには、遺骨を細かく砕き、骨とは分からないように粉末化する必要があります。これを粉骨といいます。 粉骨をして遺骨をパウダー状にすることで、体積も減り分骨もしやすくなります。一部を散骨し、一部を手元に遺して手元供養にする場合も、小さな骨壺で遺骨を保管できます。 粉骨は自分ですることもできます。しかし手間もかかる上、何より大切な故人の遺骨をご自身の手で粉骨する気持ちの負担を考えると、業者に依頼する方が良いと思います。 粉骨を専門で請け負っているところもありますが、散骨を依頼する際に、一緒に粉骨もお願いすることもできます。
山での散骨と樹木葬の違い difference
山など陸上での散骨と樹木葬の違いについては、墓標として手を合わせる対象があるかどうか、また遺骨を地下に納めるか、地上にパウダー状に粉骨した遺骨をまくかといった点が挙げられるでしょう。 しかし里山型の樹木葬では、特定の樹木等を墓標とせずに一帯を故人の眠る場所として手を合わせる対象とするタイプのものもありますし、遺骨を骨壺や袋に入れて地下に埋めるのではなく地上にまくタイプのものもあります。 このように樹木葬のタイプによっては散骨と言えるものもあります。厳密な区切りがあるというよりは、それぞれの樹木葬の管理運営者によると考えてよいでしょう。 なお、里山型以外の樹木葬でも、自然に近い環境で眠りたい、永代にわたって遺骨の管理や供養を依頼したいといった希望をかなえることは可能です。
散骨のメリット merit
散骨のメリットは、費用がかからない、遺骨の供養や管理の手間がかからない、自然に還ることができるといった点があります。 墓石を購入したり、何年も墓地の管理費を支払い続ける必要はないため、経済的な負担は少なく、お墓の継承者も必要ありません。 また、自然に還るという点も、骨壺に入れ、コンクリートのカロートの中に納めるのではなく、直接、海や山にまくので、長い年月をかけて土に還るというイメージもしやすいのではないでしょうか。土の下に埋めるより、明るい印象を持つ方も多いでしょう。
散骨の注意点 important point
散骨は、費用を抑えることができ、後々の遺骨の管理や供養といった負担も少ないといったメリットがある反面、注意しなければならないこともあります。ここでは代表的ないくつかの注意点をご紹介します。
どこでも散骨しても良いというわけではない
まず、散骨場所をきちんと選ばないとトラブルに発展する恐れがあります。 粉骨で骨とはわからないくらい細かくし、パウダー状にしたからといって、遺骨はどこにでもまいていいというわけではありません。一般的には、寺院などの所有する山など散骨が認められている場所や、海でも一定の条件を満たした所定のエリアで行います。 他人の私有地や公共の場所など、周辺の住民に迷惑がかかるような場所は避けましょう。また、地域の産業やそこに暮らす人々の心情にも配慮する必要があります。 なお、地域によっては条例や指針、ガイドラインによって規制等を設けている自治体もあるほか、散骨に関わる業界で自らガイドラインを用意して、節度をもって散骨が行われるよう取り組んでいるケースもあります。
散骨した場所にお参りに行きにくい
一般的に、散骨は人里を離れた山林や、海で行われるため、後から訪れるのが難しく、気軽にお墓参りに行けないこともあります。 さらに、散骨を行う場所は、「この辺り」と漠然とした範囲は示すことができますが、お墓のように手を合わせる対象があるわけではありません。 また、海洋散骨を行った後には、散骨場所の緯度と経度を記した証明書が発行されることが多いですが、緯度と経度がわかってもお参りに行くためには船を用意する必要があります。 海洋散骨を行う業者によっては、一周忌や三回忌など供養の需要に応えて、散骨した場所に船を出すクルージングを行っているところもあります。
散骨を希望する人はどんな人? wishing
散骨を選択する理由はさまざまです。 当初は、亡くなったら自然に還りたいといった希望であったり、生前海が好きで亡くなったら海にまいてほしいといった、本人の夢をかなえるために散骨を選ぶことが多かったようです。 しかし最近では、墓じまいの後に、それまでお墓に納骨されていた先祖の遺骨を散骨するというケースも増えているようです。 墓じまいをして行き場のなくなった先祖の遺骨を納めるために新たにお墓を探して納骨すると、将来、子どもや子孫がまた墓じまいをしなければならなくなる可能性があります。 古いお墓から取り出したすべての遺骨を、一度に散骨してしてしまえば、こうした後々の負担はなくなります。
まとめ summarize
散骨についてご説明しました。 一般的にも広く知られるようになった散骨ですが、手を合わせる場所がない、親族の理解を得にくいといったことから、散骨に興味はあるけれども決めかねているという方もいらっしゃるかもしれません。 もしそういった理由で迷われている方がいらしたら、ぜひ樹木葬を検討してみてください。 自然の中で眠るといったコンセプトや、お墓を継ぐ人がいなくても申し込むことができる、一般的なお墓と比べ費用の負担も少ないなど、樹木葬には散骨と同様のメリットがあります。 その上で、さらにきちんと手を合わせて故人を偲べる場所もありますので、周囲の理解も得られやすいのではないでしょうか?樹木葬について詳しく知りたいというかたは、お気軽にご連絡ください。